地盤が沈んで家が傾いてしまった!その対策

2020.07.20

沈下修正工事の種類

地盤が沈下してしまい傾いてしまった家。建て替えすればいいのだろうけど、先代から引き継いだ思い出のある家だから残して住みたい、経済的に建て替えは難しいから残して住みたい。そんなときどんな方策が考えられるだろう。

地盤が沈下して建物が傾いてしまった場合、その敷地状況や地盤状況などにより、様々な方策が考えられます。ここでは大きなお屋敷ではなく、ごく一般的な家屋を想定して、建物周囲の周囲に1m程度の空きがある場合、にできるオプションをみてみます。

①土台上げ工法

基礎コンクリートと木造土台を切り離して、基礎コンクリート上から木造部分だけを持ち上げる工法。基礎コンクリートは沈下したままになります。建物全体でなく部分的な沈下修正で済む場合や沈下量が少ないなど、沈下が軽度な場合に採用されます。

基礎コンクリートや地盤に手を入れないので、次の基礎②耐圧板工法や③アンダーピニング工法に比べて、比較的に安価(300万円程度になるケースが多い)にできる工法です。

②耐圧板工法

基礎コンクリート下を掘削して耐圧板(鉄板+現場打ちコンクリートなど)を敷き、その耐圧板で踏ん張りを利かせながらジャッキアップで建物を持ち上げて水平とする工法です。耐圧板で踏ん張るため、耐圧板の下が沈下の恐れがない強固な地盤である必要があるため、比較的浅い層に安定した地盤がある場合に採用されます。

基礎から持ち上げるため、前の①土台上げ工法に比べて高額で、地盤補強がないため、次の③アンダーピニング工法に比べて安価になります。(700万円程度になるケースが多い)

③アンダーピニング工法

基礎コンクリート下に掘削し、安定した地盤まで鋼管杭を打ち込んだのち、鋼管杭と基礎コンクリート間を突っ張るようにしながら、建物を持ち上げる工法です(安定した地盤が深すぎて到達しきれない場合には、地盤との摩擦で耐力を得る摩擦杭になる事もあります)。基礎コンクリート下の浅い地盤が軟弱な場合に採用される工法です。

地盤補強と基礎補強を行うため、前の①土台上げ工法や②耐圧板工法より、費用は高額(700万円~1,200万円程度になるケースが多い)です。

まず地盤調査をしよう!

どの工法が適切かを判断するために、まず現地の地盤の耐力を調べる地盤調査をするのがよいでしょう。地盤調査はスウェーデン式サウンディング試験という、簡易的な方法で十分です。費用はおよそ5万円です。

いざ工法の提案!

沈下修正業者さんを現地に呼んで、現地状況と地盤調査報告書をみて業者さんより工法の提案をもらいましょう。

地盤が強固で安定している場合は、コスト重視で安価な①土台上げ工法が採用できますし、浅めの層で安定した地盤があれば②耐圧板工法が候補となり、地盤が軟弱であれば③アンダーピン工法が候補となります。

そして工法の選定!

建物沈下の原因が、やはり軟弱地盤の不同沈下を原因であるケースが多いため、将来性を考えてきちんと対処するとなると、③アンダーピニング工法を採用しなればならないという結果になることも少なくありません。

しかしアンダーピニング工法は非常に高額となります。それであれば思い切って新築に建て替えた方がいいのではないか、と悩まれることになります。

将来設計や、既存家屋への愛着を鑑みて総合的に判断しなければならず、ここをどう判断して進めてゆくかが、沈下修正の難しいところです。


お読みいただいてありがとうございました!

※沈下修正には上記以外にも様々な方法があります。現地状況や地盤状況により、見解が変わることがありますので、必ず専門業者に相談してくださいませ。

邸宅巣箱チーム一同