鎌倉006

動線を編み込むことで生まれた空間の力学

本住宅は、「編む」という行為の運動と構造を建築空間に転写する試みである。きっかけは、布をテーマにしたスタジオを併設したいという建て主の要望だった。棒針が糸を掬い、捻り、通す動きをなぞらえ、水平・垂直・螺旋といった多方向の動線が交差しながら空間を織り成していく。4.5mの吹き抜けを持つリビングはギャラリーにもなり、ダイニングの床を40cm下げて囲んだ回廊は腰掛けや客席にも転用される。中央のテーブルは日常では食卓に、ワークショップ時には作業台となる。固定的な用途を前提とせず、場の機能が編み直されることで、空間は使途に応じて新たな様相をまとう。運動と構造の構成が、らせん状の力学として表現されつつ、動的かつ多義的な空間に翻訳されることを試みた。

主要用途:一戸建ての住宅
建築種別:新築
構造種別:木造
敷地面積:172.72㎡
延床面積:91.24㎡
竣工年月:2023/07
意匠設計:邸宅巣箱
構造設計:OAK plus
施工会社:出口建具店
建築写真:根本健太郎,中山翔太